この記事は、
の続きです。
「いいかい?今の彼氏は”暫定首位”なだけ。自分の本心を知らぬまま今の関係にしがみついていても、いつでも簡単に覆されてしまう。
そうならないためには、常に”彼氏を選択し続けている”実感がなければいけない。
そしてその実感を得るには、常に他の男とも恋愛ができるというマインドを持っていなければならない。君の場合だと、実際に他の男とも並行して恋愛すること。
今日は、そこに”気づく”日なんだよ。比較する男ができることで、自分の本心にかえりみる余地が生まれるし、1人に固執しないマインドも身に付けることができる。
また、常に最良の彼氏を選択し続けることができるようになる。結果的に、1番相性がいい相手を選ぶことができる。」
私の熱弁に対し、意外にも案件はリラックスした様子で聞いていた。それは感心しているようでもあったし、私を観察しているようでもあった。
その時、トントンとドアを叩く音がした。
店員「お待たせいたしました~。」
ここでようやく料理が届きはじめる。店員はいくつかの皿を並べるとさっさとドアを閉めて出ていった。
私は目の前にあったトマトスライスを口にする。しばしの沈黙が流れる。
案「・・・実は、1回だけあるよ。」
案件はやや声のトーンを落として言った。
私「え?浮気が?」
案「・・・うん。」
この瞬間、
私の脳内は、
キタ━━。゚+.ヽ(´∀`*)ノ ゚+.゚━━!! となった。
このカミングアウトは大きい!大きいぞ!これで有利に戦える!と。
・・・しかし、表情は至ってポーカーフェイス。
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「へぇ、そうなんだね。それはいつの話?」
平静を装いながらトマトスライスをつまむ。この場が一期一会の雰囲気に包まれようとしていた。
「2年くらい前だったかな。」
「どんな関係の人?」
「大学の後輩。」
「はじめからそのつもりだったの?」
「ううん。」
横に首を振る案件を見ながら、全くわからなかったわけでもないだろう、と一瞬思ったが、それは言わないでおいた。
「でも、それでよかったと思うよ。」
浮気を肯定する。
「それっきり?」
「うん。遠距離だったし。」
「そっか。まあ、結果的には彼氏を選んだことになるよね。」
「うん。」
「うん、その積み重ねだと思う。」
「2人の付き合っている期間が無駄に長引くと、次の恋愛にまで影響を及ぼす。彼氏にとってもね。だから比較の機会は早いに越したことはないし、多い方がいい。そうやって、いつも自分を試すべきだと思うよ。かといって重く考える必要もない。そもそも君たちは付き合ってるだけで、結ばれるかどうかわからないのだから。」
「浮気で後悔したのなら、不倫をしなければいい。一途は最後の恋に取っておけばいい。」
これで幾分か彼氏 グダ のハードルは下がっているはずだ。
「私の言わんとしていること、うまく伝わった?笑」
「はい笑。面白いです笑。」
「そっか、よかった笑。実は、ちょうど最近君と似た状況の知人がいて、7年間一途に交際していたがダメだった。2人は共依存的になっていて次の恋愛に踏み出せずにいる。だから今日、君と出会えたことと、この話を伝えられたことは何かの縁だと思うし、私のとっても旅の良い思い出になるよ。」
「旅?・・・そうなの?」
「そう。1人旅してて、帰る途中なんだよね。」
ここで自己開示。今回の旅の中で1番遅く、1番有効な場面で使い方だった(リンク:旅ナンパ九州編8日目<熊本県2>)。
「だから後腐れもないし。今日のこと、私と“お試し体験“してみる?」
案件は両手を内ももで挟み、下を向いてニコニコしながら体を軽く前後に揺らしていた。
何も言い返してこない。どうやらまだ私のターンのようだ。
ここで、直感的、本能的に体が動く。 ギラ を仕掛けるタイミングだ。この旅の間”ギラつけないスランプ”に陥っていた私にとって、この閃きはまさに天啓だった。
私「てか、気になったんだけどさ、その後輩からはどんな風にして言い寄られたの?こういう感じ?」
私は同じ状況を作りだそうと、体1つ分すり寄って自分の左肩を案件の右肩に寄せた。肩が触れ合った瞬間、案件の目元にえくぼが浮かび上がった。今日1番の笑顔になっていた。
「んで、隣同士なら普通こうするよね?」
私の左手が案件の右手を握る。手つなぎの形。
「・・・合ってる笑」
「そして、次はこうかな?」
次は自分の右手を案件の左太ももに置いた。横からやや覆いかぶさる形になる。
「うふふ、なんでわかるの?」
案件のニヤニヤが止まらない。
「だろ?そして・・・」
今度はつないでいた左手を外し、案件の首の後ろに回した。そして側頭部を抱え引き寄せる。2人は至近距離で向き合う形になった。
案件は一気に体が硬直し、何も言わなくなった。笑みも消え、私の顔から目を逸らすことができない。その瞳は潤み、瞳孔は完全に開ききっていた。これから数秒先、いや、もっと先のことを強く意識している証拠だ。
「こう・・・だよな?(イケボ)」
案件は息を呑んでコクリと頷いた。
見つめ合い、少しの沈黙。店内のBGMや周囲の喧騒が、やけに遠くで鳴り響いている気がした。
私が唇を近づけると、それに合わせて案件のまぶたが閉ざされていく。そして唇の角度が合うと、案件は完全にまぶたを閉じた。
キス。明るく閉ざされた空間で、2人の影が重なった。
お互いに顔を動かしながら感触を確かめ合う。しばらくそれを楽しんでいると、
相手の方から、絡ませてきた。
―――雌雄は、決した。
あとは LH 打診し、YESの返事を貰って 搬送 するだけだ。しかし今夜は年度末最後の土曜日。22:45を越えてもなお巷は人で溢れかえっている。この時間、LHにはまだ空室が残っているのだろうか。
焦りは募る。それも1秒ごとに。なぜなら1時間後には案件を帰さねばならないから。
私たちには、”1つになれる場所”の確保という最後の関門が残されていた。
↑に続く。
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