「仕事お辞めになるの?残念だわ。」
2016年3月。私は仕事を辞めることになり、その報告をしに1人の女性のもとを訪れていた。
女性は顧客の1人で、月に1度こうして直接商品をお渡ししていた。そして決まって15分ほど世間話をする。
女性は常に私の身を気遣ってくれるので、お別れの挨拶は少し寂しかった。
「私がお届けに上がるのは今日で最後です。今までありがとうございました。」
「こちらこそ。あなたには本当に感謝しているのよ。ねぇ、何かお礼をさせて。」
「お礼、ですか?」
「ディナーなんていかがかしら?個人的な送別会をしたいの。」
女性からのお誘い。これは純粋に嬉しかったが、残念ながら女性は私よりかなり年上で 可食範囲 外だった。
しかし、ナンパ開始から10ヶ月で未だ3ゲットの私は、年齢を問わずもっと女性経験を積みたいと思っていた。なので私はこのお誘いに乗ることにし、連絡先を交換した。
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送別会は土曜日の「ホテル日航金沢」で行われた。
金沢の夜景を眺めながら、女性は私に色々とご馳走してくれた。
↑和牛A5ランクのシャトーブリアンや「のとてまり」などを頂きました(*´▽`*)
女性は医師だった。だが、”医者の不養生”の言葉通り体調が悪く、週に3~4日働いては休む日々が続いていた。
「まさか女医さんだとは知りませんでした。」
「でしょうね。オフの私は”お粗末“だから言わなかったのよ。」
「いえいえ。教養深い方だとは思っていました。」
「私は独り身だし金沢には友人がいないから、あなたとのお喋りが唯一の楽しみだったの。」
「ありがとうございます。・・・それより、そんなに呑んで大丈夫ですか?」
「大丈夫。私は週末になると俄然調子が良くなるのよ。さぁ、次行くわよ。」
ということで、2軒目はバーへ。ここではオリジナルカクテルや年代物のウイスキーをご馳走になった。
「次のお仕事は何をなさるの?」
「実はまだ決まってなくて。単に今の職場がブラック企業なので辞めるんです。」
「わかるわ。私も激務だしお休みの日も患者が心配で気が休まらないもの。」
「なので、次はもう少し自分の時間を持てる仕事に就きたいです。」
「自分の時間を持って何をなさるの?」
「え~と・・・。」
単にナンパでパートナーを探したいだけなのだが、どんな反応をされるかわからないので、私は「いつか叶えたい願望」を話すことにした。
「男女の“相性“に重点を置いたマッチングサービスを始めたいと考えています。人は相性さえ良ければパートナーとなり得ると感じているからです。」
「あら、面白い仮説ね。でも、その相性の良さはどうやって判断するの?」
「現代の心理学を用いれば相性診断は出会う前から可能です。まず、登録者に性格診断を受けてもらい性格類型論に基づきタイプ分けをします。そして、相性が良いとされるタイプ同士をマッチングさせます。」
「この場合の性格類型論とは何かしら?」
「エニアグラムです。」
「エニアグラムを使うのね。それで、具体的にどのタイプ同士が相性が良いの?そして、その信憑性はいかほどかしら?」
「それはこれから検証していきます。」
「ふふ。上手くいくといいわね。応援させてもらうわ。」
「ありがとうございます。」
荒唐無稽な話でも現実味を帯びるのが彼女の良いところだ。それだけ博識だし頭の回転も速い。
私が話し終えると今度は女医が医師ならではの話をし、それを聞いているうちに閉店時間を迎え送別会はお開きとなった。
女医と 健全解散 した翌日の日曜。私はひっきりなしに鳴るLINEの通知音で目を覚ました。
「おはよう。」
「昨日は楽しかったわ。」
「今日もお休みだったわよね?」
「今何してる?まだ寝てるのかしら?」
全て女医からだった。私は、
「昨日はありがとうございました。今は家でまったりと過ごしています。」
と返すと、すかさず、
「今夜もディナーに付き合いなさい。」
と送られてきた。昨日約束した覚えもなく今日は骨休めするつもりだったので断り文句を考えていると、
「もう予約入れたから。」
と追撃が来た。私は慌てて、
「すみません。今夜は家族と過ごす予定なので応じられません。」
と返信すると、
「そうかい。なら呪ってやる。私の呪いは怖いのよ。」
と返ってきた。 私は薄気味悪くなり渋々了承すると、結局深夜まで付き合わされた。
その後も毎日立て続けにLINEが入った。未読が溜まると「さっさと読め」と催促され、既読にすると「返事をしろ」と催促された。
また、突然真夜中に電話が掛かってくることもあった。女医は送別会の時に「ストレスで夜通し泣くことがある」と言っていたので、その場面に直面すると思うと怖くて出られなかった。
女医は情緒不安定なのがネックだった。会っている時は安定していて問題ないのだが、それ以外は常に躁鬱状態だった。
送別会から数日足らずですでに私は女医との関係に疲れていた。こうも毎日連絡を求められると束縛されている気がしたのだ。
私は彼女の精神安定剤にはなれない。なので、徐々に疎遠になることにした。
ひとまず角が立たないように週1回のペースで会うようにし、一緒にディナーを食べたりドライブに連れて行ったりした。
会えばそれなりに楽しいし掛かる費用も全て女医持ちなので、慣れればこのままで良い気もしていた。
しかし、私の考えとは裏腹に女医の望みはエスカレートしていった。
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ある週末、いつものようにホテルでご馳走になっていると、
「好きな自動車メーカーは何かしら?」
と訊かれた。私はアウディだと答えると、
「良いわね。次回見に行きましょう。」
とディーラーを訪れることになった。
そして翌週、ディーラーで実物に触れ、気になるものは試乗もした。
↑アクセルを踏み込む度に感じられる力強いトルクとダウンフォース。外車ならではの魅力がありました(´▽`)。
試乗中、女医が助手席で、
「乗り心地良いわね。これにしましょうか。」
と言うので、
「運転免許持ってませんよね?」
と答えると、
「あなたが運転するのよ。」
と返ってきた。
「え?」
「私の”お抱え運転手“になりなさい。私を乗せない時は自由に使って良いわ。」
なん・・・だと・・・。
600万円以上する車だ。これに乗ってナンパしたらどれだけ成功率が上がるだろう。
しかし、これを買われたら疎遠になれなくなるどころか、むしろ頻繁に呼ばれることになる。
彼女は打算的だ。車と運転手を同時に手に入れようとしている。
「今はまだ自分の車が気に入っていますので・・・。」
と私は言葉を濁した。
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数週間後、週末のバーで年代物のウイスキーをご馳走になっていると、
「私のショーファーたるもの、”ホスピタリティ”を学びなさい。」
と話を切り出された。
「ホスピタリティ?」
私は一瞬、「看護か介護でもさせる気か?」と思ったが、そうではないらしい。
「大丈夫。観察眼があるあなたなら体験するだけで良いの。」
「何を体験するんですか?」
「ラグジュアリーホテルに宿泊して、洗練された雰囲気やコンシェルジュの振る舞い、サービスに触れるのよ。」
ラグジュアリーホテルとは最上級ホテルのことらしい。
「大阪の”ザ・リッツ・カールトン”に行きましょう。そこが1番相応しいわ。」
これを聞いた私は、「ついに宿泊の話が出たか」と思った。
実は以前、バーでショットグラスの間接キスをしたところ、それが当たり前になった。また、別れ際の握手もハグに変わり、その時頭を撫でることも求められた。
なので最近、女医は私にショーファーより深い関係を求めているのではないかと思うようになった。
もし”リッツ”で添い寝でも許せば、その既成事実を土台にしてさらに踏み込んでくるだろう。
↑例えが古いが、陣取りゲームの「クイックス」のようだ。
私はまた言葉を濁したが、女医は気分が上がってきたようで、
「さぁ、予定を立てるわよ!となると、そんな”シャビー”な姿じゃいけないわ。出発までに私が何とかしてあげる。」
と息巻いた。
それからは会う度に、鞄や靴、財布、服、小物類などが”支給”された。
また、基礎化粧品や香水などの消耗品も支給された。
↑美容液はゲランオーキデアンペリアルコンセントレートセロム、香水はアルセーヌルパンルヴォワイユ。
支給品はどれも高額(消耗品ですら3万円以上するものも・・・)なので最初に断ったのだが、
「リッツから帰ってくれば返してくれて結構よ。」
ということで、一旦身に付けることにした。
私は着々と”ショーファースタイル”に仕立てられ、宿泊の流れは避けられなくなっていた。
一方で、女医と会わない日は スト に出ていた。
支給品を取り入れた私は 案件 から若く見られるようになった。そして、女医から得た知識や教養や経験が刺さり、JDなどのアラツー案件も ゲット できるようになった。
↑「記念に顔撮らせろーw」「いやーw」の図。
皮肉なことに、女医と関わるほど出会う案件の食いつきをどんどん上げていた。
そして、リッツ宿泊当日を迎えた。
↑ショーファースタイルでリッツに向かう私。
パトロン誕生<後編>に続く。
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匿名希望さん
お待たせしました!公開しました!(´▽`)ノ
後編はまだでしょうか?楽しみに待ってます!
清水さん コメントありがとうございます!
続きが気になってくれて嬉しいです(*^o^*)
神戸のいい所・・・気になります!
とても面白いです、続きが気になります(*^^*)
もし神戸にこられるらないい所紹介致します!
匿名さん コメントありがとうございます!
リアルの出来事を小説風に仕立てていますw
なんか小説読んでるみたいw